歯科治療の詰め物として使用されていた「アマルガム」をご存じでしょうか?
日本においても、1970年代頃まで頻繁に使われてきました。
現在の歯科治療でアマルガムはほとんど使われていませんが、昔治療した歯に詰められている可能性も考えられます。
実は、アマルガムには健康を脅かしかねない危険性が潜んでいるのです。
今回の記事では、アマルガムについてや見分け方などをまとめました。
また、どんなリスクがあるのかも詳しく解説しています。
「歯の詰め物がアマルガムかどうか気になる」 「アマルガムが詰まったままだとどうなるの?」 と不安をお持ちの方は、ぜひチェックしてみてください。
アマルガムとは
アマルガムは、
虫歯治療などで空いた穴に詰める歯科治療用の材料です。
材料の中には、銀や銅などの他に水銀が使用され、水銀の含有量は全体の約50%にも及びます。
アマルガムは、詰めるときは柔らかく、穴にしっかり密着し、一度固まると強度が高くなります。
扱いやすいことと、安価なことから、世界中で歯科治療に用いられてきました。
しかし、水銀による健康被害の懸念や環境汚染が叫ばれ、現在ではほとんど使われていません。
ただし、アマルガムの水銀は「無機水銀」で、水俣病などの原因となった「メチル水銀」とは違う性質です。
アマルガムの危険性
水銀は他の金属と混ざって詰め物となっている状態の場合、安定していると考えられています。
では、どういったケースで危険性を指摘されているのでしょうか? 4つのケースを紹介します。
ケース1.保管中や操作中の危険
水銀そのものはもちろん、水銀がガス化して環境を汚染してしまう可能性があります。
そのため、治療前の保管状態や除去後の取り扱いに十分気を付ける必要があるのです。
また、アマルガムは銀や銅などと混ぜ合わせて使用します。
混ぜる操作中も注意しなければなりません。
ケース2.使用中の危険
詰め物となっている状態では、水銀は安定していると考えられています。
しかし、アマルガムは使用中も危険が潜んでいるという見解があるのも事実です。
使用中にアマルガムに摩擦が生じると、摩擦熱で水銀が蒸気となり、体内に吸収されてしまう可能性が指摘されています。
つまり、アマルガムを詰めている部分で物を噛むと摩擦が起き、水銀を含む蒸気となって体内に侵入し、健康を脅かすとされているのです。
ケース3.除去時の危険
アマルガムを除去するときに、削り取る工程で水銀が蒸気化し、吸い込んでしまうリスクがあります。
そのため、削るときにはラバーダム(ゴムの膜)を装着したり、環境汚染対策をしたりと、より一層の注意が必要です。
「アマルガムは危険だから外したい」「見た目が気になる」といった理由から、アマルガムの除去を希望する患者さんもいます。
しかし、除去する際のリスクもしっかり考慮しなければなりません。
特に、妊娠中や授乳中は避けた方がいいでしょう。
胎児や母乳を飲む赤ちゃんにも影響を及ぼしかねません。
ケース4.アレルギーの危険
水銀に限らず、詰め物の材料として使用されている金属物質には、金属アレルギーの原因となるリスクがあります。
金属がイオンとなって唾液に溶け出してしまうためです。
金属アレルギーの症状としては、口腔内や皮膚の炎症が挙げられます。
金属アレルギーを疑う場合は、歯科金属アレルギー科や皮膚科などを受診してみましょう。
アマルガムの見分け方
アマルガムは一見すると銀歯に似ています。
銀色の詰め物ですが、錆びて劣化しやすいため、銀歯よりも黒ずんで見えます。
銀歯のフチが黒くなっている場合も、アマルガムの可能性が高いでしょう。
また、表面が滑らかでなく、ザラザラしている場合も。
見た目だけでなく触感でも見分けられるかもしれません。
しかし、アマルガムかどうか正確に判断するには、歯科医院の受診をおすすめします。
アマルガムに代わる材料
アマルガムの代わりに歯の詰め物として使われている材料は、何種類かあります。
ここでは主に使われている4種類をご紹介します。
材料1.コンポジットレジン
コンポジットレジンは、特殊な光で凝固する樹脂です。
保険適用内なので、安価で済みます。
色は白く、歯の色と近いので目立ちにくいでしょう。
金属アレルギーの方にも使える材料です。
ただ、強度が低く、ちょっとした衝撃や長期間使用すると、割れたり削れたりするトラブルが起きやすいです。
材料2.金銀パラジウム合金
金額パラジウム合金は、銀歯とも呼ばれています。
保険適用内であり、素材自体の価格も安価です。
色が銀なので、目立ってしまいます。
強度は強いですが、その分嚙み合わせている歯を削ってしまう恐れも。
また、金属アレルギーの方には使用できません。
材料3.セラミック
セラミックは陶器で、ジルコニアやオールセラミックなど、いくつか種類があります。
本物の歯とほとんど変わらない色で、目立ちません。
歯科治療用のセラミックは強度も高くなっています。
しかし、保険適用外なので、治療費が高額になってしまうデメリットがあります。
材料4.金
金は強度が高く、虫歯の再発が起きにくい素材です。
金属アレルギーにもなりにくいとも言われています。
耐久性にも優れ、長期にわたって使用できるでしょう。
本物の歯に近い性質を持っており、詰めた部分に舌で触れた感触も違和感が生まれにくいです。
欠点は、金色で目立ってしまうこと。
加えて、保険適用外で治療費が高くなってしまう点も挙げられます。
他の歯の詰め物や治療法
今回の記事ではアマルガムについて紹介しました。
アマルガムを歯に詰めている方は危険性について考えましょう。
また、アマルガムを変えようと検討している方は他の歯の詰め物について知っておくといいでしょう。
下の記事では歯の詰め物について詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
「
歯の詰め物にはどんな種類がある?詰め物の治療方法も紹介」
アマルガムの危険性を知っておこう
いかがでしたでしょうか? 本記事でアマルガムについての疑問の解決や、その危険性を知るきっかけになったことと思います。
アマルガムについて正しく理解し、不安なときは歯科医院で診療を受けましょう。
当院は、年中無休で夜22時まで診療しています。
院内はバリアフリーに配慮し、キッズスペースも完備しているので、幅広い年齢の方に安心してご来院いただけます。
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2022-07-22 10:59:21
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